大畑食品について

1936年、金沢市木ノ新保で佃煮製造業として「大畑商店」を創業しました。初代、大畑與次郎の名から「丸にヨの字」のマークを使用しており、いつしかマルヨ大畑の愛称で親しまれるようになりました。
1985年、金沢市湊に社屋と工場を新設し、「金沢佃煮」の質の向上とともに安心安全な商品づくりに専念してまいりました。その後、経営組織の近代化を図るため「大畑食品株式会社」を設立しました。
そして2013年、金沢市大野へ拠点を移し、工場から工房へとものづくりを進め、今に至ります。ものの食べ方や嗜み方、時代に求められる食のかたちを追求して、しなやかな発想で「金沢佃煮」を受け継いでいます。

「金沢佃煮」の歴史は、参勤交代に訪れた加賀藩主が手土産として佃煮を江戸から金沢へ持ち帰ったことから始まります。
冷蔵庫が無い当時、保存性に優れており栄養価も高い佃煮は食卓に欠かせないものとなりました。
やがて文化振興を止まない先人たちの知恵により、特産品であった白山麓に自生する「くるみ」浅野川や犀川に生息する「ごり」を素材に、金沢の和菓子や茶道文化とも融合させた「金沢佃煮」が作られるようになりました。上品な甘さと鮮やかな見た目で「金沢佃煮」は美味であると広まり、伝統食のひとつとして今もこの地に根付いています。

わたしたちは、そのような流れを受けて、古くから伝わる佃煮の製造技術と金沢の食文化を大事に守り続けています。
白山の伏流水や大野の醤油など佃煮づくりには欠かせない基本素材に恵まれた環境で、すべての工程が手作業だからこそ生み出せる食感や味わいが自慢です。
春夏秋冬、その日の温度や湿度の変化を見極めながら、ぐつぐつと丁寧に釜で炊き上げることを信条としています。

佃煮は素材をまるごと大切に保存して体と心に栄養を摂るための知恵のかたまりです。
家庭における食生活の多様化、冷凍食品やレトルト食品など利便性の高い加工食品の増加により、佃煮の消費量は減少傾向ですが、健康志向が高まる現代にも合った保存食であると考えます。
「くるみ」や「ごり」はもちろんのこと、山海の幸はきわめて栄養価が高く、カルシウムや鉄分など豊富に含んでいます。

今日もみなさまの食卓に「美味しい」をお届けできますよう、また、次の世代に「金沢佃煮」を繋いでいけますよう、精進してまいります。